エコーとナルキッソス☆外伝

水面に写る自分に恋焦がれるあまり
狂気の果て、ついに終期を遂げる場面です。

……空腹も・睡魔もナルキッソスを水辺から離す事はできなかった。
「私には、恋しい若者がいて、彼も私を見ている。
だがこの目で見ている恋の相手がいざとなると見当らないのだ。
なおさら悲しいことには、私達をへだてているのは
大海でもなく、遠い道のりでもなく、山でもない。
門を閉ざした城壁でもないのだ。
ただ、わずかばかりの水にすぎない!
こちらが水に唇をさしのべるたびに
彼も仰向けになって唇をさしのべて来るのだ。
今にも触れそうになるくらいだ。
美しい口もとの動きから察するかぎり、言葉を返してくれてもいる。
ただ、それがこちらの耳には届かない!
ああ!
愛するふたりを妨げているのは、ほんのちょっとしたものなのだ。

おまえが何者であろうと、さあ!ここへ出て来るがよい!
たぐいまれな美少年よ、どうして私をあざむくのだ?
追い求める私を振り切って、どこへ去ろうというのか?


わかった!それは私だったのだ。
やっと今になってわかった!
私は自らに恋い焦がれて、燃えていたのだ。
炎をたきつけておいて、その炎をみずからが背負いこんでいる。
どうしたらよいのか?
求められるべきか、求めるべきか?
何を今更求めようというのか?
私が望んでいるものは、私の中にある。
ああ、この私の身体から抜け出せたなら!
私の愛するものが私から離れていたら!

悲しみのあまりに、もう、力は尽きて行く。
余命はいくばくもないだろう。
うら若い身で滅んで行くのだ。
だが、死も恐ろしくはない。
それによって悲しみを捨てることができるからだ。
愛するものにはもっと長生きをしてほしい。
だが、今は、ふたりが仲よく、同時に死を迎えるのだ」

こう言ってナルキッソスは嘆き悲しみながら
自分の胸を青白い手で打ち叩いた。

エコーは木陰からこのありさまを見ていた。
ナルキッソスより与えられた怒りも悲しい記憶も消えてはいなかった。
にもかかわらず、それでも、大そう悲しんだ。
哀れな美少年が水面を覗いて「ああ…」と嘆くたびに
彼女はこだま返しに切なく「ああ…」とくり返した。
彼が手で自らの胸を打ち叩き、苦しさに嘆くと
彼女も同じ嘆きの響きを返した。
ナルキッソスの最後の言葉はこうだった。

「ああ、切ない恋の相手だったナルキッソスよ!
さようなら…」

すると同じ言葉がエコーの口から出た。
これは彼女の心そのものの言葉だった。
エコーはナルキッソスが命を落とす最後の場面になって初めて
彼に本心を語ることができたのです。

・・‥…--☆:*:★.:*::

ひぁー(/_;)
せつねぇーなぁー(T_T)

いかがでしたか?
エコーやナルキッソスの悲しみを
単なる恋物語としてではなく
自分の為に
相手の為に

実生活に活かしてくださいね。

by 1996utc | 2008-12-03 17:25 | エコーとナルキッソス